じねんのことはり

『夢』

水車小屋

 川べりには水車小屋。
 草が茂る土手。
 流れの中には魚の影が…と、こんな景色がここ日本で見られたのはいつごろまでだったろう。
 
 黒澤明の「夢」という映画の舞台になったここは、穂高のわさび園の一角だ。
 叔父の絵本『水車小屋』に、ふるさと・新村の水車小屋の鉄製の水車が描かれている。水車は戦争中、国に献納され、水車を作れないまま小屋は朽ち、そして取り壊された…と、ある。
 鉄製の水車はさぞかし、パワーがあっただろうがやはり水車と言ったら、風情があるのは木製だ。
 でも、こんな木製の水車は、観光地か蕎麦屋あたりの玄関先にしか見られなくなった。

 映画「夢」の中で、’笠智衆’扮する村の古老がこの水車の横に座り、こう語る。

 人間は便利なものに弱い。

 便利なものほど いいものだと思って 本当にいいものを捨ててしまう。

 近頃の人間は 自分達も自然の一部だということを忘れている。

 人間に一番大切なのは いい空気や自然な水 それをつくりだす木や草なのに。

 汚された空気や水は 人間の心まで汚してしまう。


 本当にいいもの。
 時代がこのまま進んでいったとき、最後に「人の心」は残るだろうか。

 残さなければいけない。それは私たち、大人の役目だ。




丸さんの絵日記〈5〉水車小屋 (丸さんの絵日記 (5))
| じねんのことはり | 2007.07.10 Tuesday |
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